後光厳院本「竹取物語」(断簡・原題不明)


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書誌情報
・室町初期―南北朝時代頃(14世紀初)の写か。現在11葉が発見されている
・伝承筆者(江戸期の鑑定)では10葉が後光厳院筆、加賀文庫蔵の1葉が二条為定筆
・本文は全体として古本系であるが、新井本以下の古本系と同一視してよいかは議論が分かれている
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・Ⅰ 久曾神昇蔵切(『物語古筆断簡集成』掲載)
・Ⅱ 毘沙門堂蔵古筆手鑑『龍雄』所収切(新井信之『竹取物語の研究 本文篇』掲載)
・Ⅲ 加賀文庫蔵古筆手鑑『古筆名葉帖』所収切(『古筆学大成』23巻掲載)
・Ⅳ 久曾神昇蔵切(久曾神昇編『竹取物語』掲載) 
【凡例】
・[イ<ロ>]とある場合、イという文字がロに見せ消ちで訂されている事を示す
・[イ(ロ)]とある場合、イという文字の右にロという文字が記されている事を示す
・○\イ/とある場合、イという文字が○記号で補入されている事を示す。○記号はない場合もある

Ⅰ
めてみるうみのうゑにたゝよへは
山いとおほきにてありその山のさま
たかくうるはしこれやもとむるやま

Ⅱ
たりなはもしちやうしやのいゑ
らにとふらひもとめんになき物
ならはつかひにそへてかねをかへ
したてまつらんといゑりもろ
こしにかへりきけりそのゝち
もろこしふねきけりおのゝ
ふさもりまうてきて上ゝいふこと
をききてあよみとくするむま
をもとめてはしらせんむかへ

Ⅲ
しきめ見すいかゝすへきいかならむと
の給にかちとりこたへて申こゝらふ
ねにのりてありくにまたかくわひ
しきめを見すふねうみのそこに
いらすはかみおちかゝ[る<り>]ぬへしもし
さいはゐに神のたすけあらはなん
かいたうにふかれをかしぬへかんめり
うたてあるぬし[の(本)]みとんにつかふ
まつりてそゝろてるしにをすへ

Ⅳ
たつはとなるかみのるいにこそ
ありけれは我かいせられなんとす
るなりけりまいてたつをとらへたら
ましかはまたともなく我しなまし
よくすとらへすなりにけるかくやひ
めといふおほぬす人のやつの人
ころさむとするなりけりいゑの
あたりよりたにいまはとをらしを
のこ\と/もゝなありきそとていゑにす