『住吉物語』断簡


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書誌情報

・架蔵
・冊子の写本の紙一枚分に当たる断簡。本文は群書類従本とおおよそ一致
・室町―江戸頃の写か。未詳
・独特の字体だが、極札等なく、伝承筆者などは不明
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[表]
さおもひやり給侍従ははゝのかなしみの中にひめ君
の御つれ\/をなけきつゝさてのち\/のわさもこま
\/といとなみけりはての日姫きみのつねにき給ひける
うちきひとかさね侍従かもとへつかはすとて
    からころもしての山路をたつねつゝ
    わかはくゝみしそてをとひなむ
とつまにかきつけてやり給けれは侍従これを見て
かほにをしあてゝ人めもつゝまさりけりとかくいとなみ
侍ほとに七月七日あまりに姫きみのもとへまいりけるに
はつ秋の月いとあはれなる夜はしちかく出てよの中の

[裏]
はかなくあはれなることをきこえあはせてなきゐたるを
少将たちきゝてあはれさかきりなかりけれはとふらひ侍
らんとてしとみをたゝけは侍従は少将なりとていて
あひてきこゆるやうものおもふはかなしきことゝはこの
ほとこそおもひしられ侍れといへはさこそは侍けめあな
あはれなといひかよはすほとにさよもなかはにすきて
かねのをときこえけれは侍従なにこゝろもなく物かた
りのなかにあかつきのかねのをとこそきこゆなれと
いへはこれを入あひとおもはましかはとうちなかめ給け
り姫きみもあはれとそきゝとかめ給けるさて夜も